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2022年

事務所通信2022.12月号要約版

消経営:めざせ! 付加価値経営〈その3〉 借入元本を返済するために必要な利益は?

 ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の利子免除期間(3年)を経過すると利子を返済していかなければなりません。また、元本返済の据置を受けている場合は、その期限に応じて返済が始まることになります。現在、資金繰りが安定していても、借入返済の原資を確保していかなければなりません。借入返済の原資は「利益」です。その確保には、①付加価値(限界利益)を引き上げる、②固定費を極力抑える、この2つの組み合わせによって黒字決算を実現させることが必要です。借入返済について、漠然と考えるのではなく、具体的な数字に落とし込み、返済に必要な目標利益を計算し、それを目標として取り組みましょう。

所長の一言:次期予算を作成する場合、借入金を返済出来る利益を考慮して作成しなければなりません。因みに、私の事務所を含めTKC事務所では、「継続MASシステム」を使い簡単に必要利益を計算することが出来ます。詳しくはこちらへ


税務:令和4年 年末調整はここに注意

 年末調整業務をスムーズに進めるには、事前の準備が大切です。年末調整の主な申告書として、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書、扶養控除等申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書があります。基礎控除申告書は、年末調整の対象者が必ず記入します。また、給与収入850万円超で、納税者本人や同一生計配偶者、扶養親族が特別障害者である、扶養親族が23歳未満であるなどの条件に該当する場合は、所得金額調整控除申告書への記入が必要です。扶養控除等申告書は、扶養親族の異動がないかを確認し、収入がある場合は所得の見積額を記入するほか、障害者、ひとり親、寡婦等の該当も記入します。 年末調整は電子化することで、申告書の記入や計算が自動化され、手間やミスの削減につながる、控除額の検算や控除証明書との突き合わせなどの経理担当者の確認作業が不要になる、など事務負担の軽減を図ることができます。


消費税:ここが知りたいインボイス② どの書類をインボイスにすればよいのか?

 インボイス制度では、書類の名称(請求書、納品書、領収書等)に関係なく、登録番号や適用税率、消費税額等などの一定の事項が記載されたものがインボイスになります。事業者間取引を行う事業者の場合、通常は、請求書がインボイスになるでしょう。また、取引の都度、取引先に納品書を発行し、請求書は1か月分をまとめて発行するような場合には、納品書に一定の事項を記載することでインボイスにすることも可能です。どちらをインボイスにするかによって、消費税額の計上時期が異なります。インボイスは、レシートや手書きの領収書でも構いません。小売業など不特定多数の者と取引する事業者は、インボイスに代えて、記載事項を簡易にした簡易インボイスを発行することも可能です。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)


事務所通信2022.11月号要約版

消費税:ここが知りたいインボイス① なぜインボイスが必要なのか?

 インボイス制度が始まると、買手は売手から受け取ったインボイスと一定の事項を記載した帳簿書類の保存がないと、原則として仕入税額控除ができなくなります。インボイスは、売手が買手(得意先)に、適用税率や消費税額等を正しく伝えるための手段となるもので、きちんと対応しないと得意先に迷惑をかけることになります。インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者の登録を受けなければなりません。買手が、仕入税額控除を必要としない消費者や免税事業者のみの場合は、インボイスを発行する必要がないため、あえて適格請求書発行事業者の登録をしないという選択肢が考えられます。

所長の一言:仕入税額控除が出来なくなる=消費税分を余計に会社が負担することになるということです。一人親方に対する外注費、委託費、事務所家賃・駐車場の賃貸などについては、インボイス制度が開始する前に、相手方がインボイス制度を採用するか否かの確認を行うことが必要となってきます。


経営:めざせ!付加価値経営〈その2〉 自己資本比率を高めるにはどうすればいいのか?

 例えば、コロナ禍で売上高がゼロになるような店舗もあり、補助金等を申請してもなかなか給付されず、困った方もおられたでしょう。そんなとき自己資本が潤沢であれば、社員の給与や店舗の家賃を払い続けることができます。このようなことから、今、自己資本に関心が高まっています。自己資本は、経済情勢が悪化したときに企業を守る防波堤となるのものといえます。自己資本比率を高めるには、付加価値(限界利益)を高めることが前提となります。大事なことは、絶え間なく商品の品質向上やサービス提供の工夫を行うとともに、月次決算の精度を高めて、業績管理をより確実なものとし、コスト削減に努めて利益を出し、適正に税金を納めて内部留保をすることを地道に進める必要があります。

(注)本稿では「付加価値」を「限界利益」の意味で解説しています。

所長の一言:自己資本比率は、「純資産/総資産×100」で計算され、会社の安全性=会社の体力を示したものになります。会社に体力があればあるほど、経済情勢のピンチの時に立ち直れるチャンスが増える訳で非常に重要な指標です。中小企業では30%を一つの目標としたいところです。



税務・労務:103万円・106万円・130万円! パート等の扶養の範囲の注意点

 仮に夫婦共働きで妻がパートで働いているようなとき、夫の扶養範囲に収まるかどうかの収入の基準として、103万円・106万円・130万円などの年収の壁があります。妻の収入が給与のみで年収103万円以下のとき、妻に所得税は課税されず、夫も自身の収入から配偶者控除を受けることができます。妻の収入が103万円超201万円以下であっても夫の合計所得金額が1,000万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。給与以外の収入として、株や為替、暗号資産等の取引による利益、物品等の転売益、生命保険の一時金、損害保険の払戻金等は、雑所得や一時所得として所得税の課税対象となる場合があります。これらを正しく把握しておかなければ、意図せずに「壁」を超えることなどが起きてしまいます。106万円・130万円の壁は社会保険への加入の必要性にかかわるものです。保険や年金は、将来のお金の問題にもかかわります。働き方についても十分に検討しましょう。

所長の一言:配偶者特別控除については以前の税制改正で拡大されましたが、配偶者控除・社会保険加入などの壁は改正されていない為、パート収入を増やしていく事に繋がっていないのが現状です。国も、労働人口の確保・生産性向上を図りたいのであれば、扶養範囲、社会保険加入なども併せて検討してもらいたいものです。


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事務所通信2022.10月号要約版

経営:めざせ!付加価値経営〈その1〉 付加価値を増やす経営をしてみませんか?

 材料費をはじめさまざまなコストが高騰する中にあっても、付加価値を高めて、給与を増やし、社員に夢や希望を与える企業を目指しましょう。付加価値とは、会社が創造した価値といえるもので、簡単にいえば「売上高」から「変動費」を引いた「限界利益(粗利)」のことです。変動損益計算書を活用し、付加価値の増加を目指し、その結果として付加価値の増加の範囲内で人件費を増やせば、労働分配率の上昇を抑えられます。


経営:収益力を改善するための計画をつくろう!

 企業は、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)等の返済の本格化や、原材料・仕入価格(変動費)、燃料費・光熱費(固定費)などのコスト上昇という厳しい状況の中にあり、付加価値を増やす対策が必要となっています。利益確保のための方策を検討して、アクションプランに落とし込み、資金計画を作成しましょう。このような収益力改善の取り組みに対して、国も「ポストコロナ持続的発展計画事業」(ポスコロ事業)などで支援しています。ポスコロ事業は、経営改善に取り組む企業が、税理士などの認定支援機関の支援を受けて、資金計画、損益計画、アクションプラン等による早期経営改善計画を策定する場合に、費用の一部を国が補助する制度です。4月に制度が改正され、過去にこの制度を利用した企業でも、一定の場合は2回目の利用が可能になりました。


経営:今後増加する!? 法定福利費(事業主負担)について知っておこう

 令和4年10月から従業員101人以上の企業を対象にパートタイマー等への社会保険の適用が拡大されます(令和6年10月からは従業員51人以上まで引き下げ)。これは、社会保障費の支出の増加に伴い、1人でも多くの人に加入してもらうことが立法趣旨です。さらに、コロナ禍で雇用調整助成金の支出が激増し、雇用保険料の年2回(4月・10月)という異例の引き上げが行われます。これら法定福利費の上昇が見込まれる今、機械化、IT化、DXの推進によって従業員の労働生産性を高めて実質的な負担を軽減することや、業績を伸ばして、限界利益(粗利)を増加させるなどの対応が必要になります。

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事務所通信2022.9月号要約版

法務・税務:忘れていませんか? 不動産の相続登記 ~令和6年4月から登記が義務化!~

 登記簿上の所有者がわからない「所有者不明土地」の解消のため、相続登記や住所等変更登記が罰則付きで義務化されるなど民法等が改正されました。また、土地利用の円滑化の観点から、遺産分割の長期未了状態を解消するための新たなルールも導入されます。登記の義務化については、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません(令和6年4月1日施行)。また、登記簿上の所有者は、住所や氏名を変更したときから2年以内に変更登記が必要です(令和8年4月27日までの政令で定める日から施行)。この改正は、施行日前に発生した相続も対象となるため、注意が必要です。また、遺産分割の新たなルールとして、相続開始から10年経過後に行う遺産分割については、原則として、法定相続分または指定相続分によって画一的に行うことになりました(令和5年4月1日施行)。


経営:続く原材料価格の高騰! どうする値上げ・価格の見直し

 エネルギー・原材料価格の高騰、急速な円安などから原価の上昇を招いていますが、単に原価上昇分を反映させるだけの値上げは難しいと考えている人も多いのではありませんか。「価値」を高めて「価格」を上げるなど、「上手な値上げ」を考えてみましょう。

①値上げしやすい商品や取引先から値上げする。

②商品の機能・品質を基本形のみに絞った「基本形」の部分を値下げして、無償提供していた付属品やサービスなどをオプションとして有料化する。

③価格帯を増やす(例えば、2つの価格帯のある商材について、中間にもう1つ価格帯を設けるなど)。

④直販を増やして、粗利益の増加を図り実質的な値上げ効果を得る。

⑤独自化や差別化によって、高い価格で販売できるブランドをつくる。

所長の一言:エネルギー価格の高騰、円安による原価上昇により、値上げは必須な状況で、大手企業も軒並み値上げを今年に入って数回行っている状況です。中小企業においても値上げは必須な状況ではあるものの、得意先やお客様を考え、値上げに踏み切れない中小企業の経営者も多く見られるようです。ただ、値上げをするだけでなく、上記のように工夫をして値上げをして、この厳しい環境を乗り越えましょう!


経営:ビジネスモデル俯瞰図で自社の全体像を可視化しよう

 金融機関や取引先に対して、自社の概要を伝える機会が増えています。そのようなときは「ビジネスモデル俯瞰図」を作成して、自社の商流や事業内容をわかりやすく伝えましょう。「ビジネスモデル俯瞰図」は、自社の業務の見直しや、課題の解決にも役立てることができます。売上高や構成比、限界利益などの数値を書き入れることで全体の流れがより具体的に見えてきます。近年の金融機関においては、財務情報のみに依存せず、事業内容や成長性を適切に評価(事業性評価)して融資や経営助言を行うことを推進しており、その際にも「ビジネスモデル俯瞰図」は役立ちます。また、早期経営改善計画策定支援事業(ポスコロ事業)においても提出が求められます。

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事務所通信2022.8月号要約版

金融:金融機関との信頼関係維持はタイムリーな情報提供がカギ!

 金融機関に融資申込みや業績の報告を行うときには、月次試算表などの根拠資料を一緒に提供しましょう。それらの資料により、金融機関は業況変化や業績見通しを確認できるため、融資手続きなどがスムーズになるでしょう。コロナ禍などさまざまな理由で、企業と金融機関との面談の機会が減る中で、金融機関との信頼関係を維持していくには、これまで以上に、正確でタイムリーな情報提供が重要になっています。また、「TKCモニタリング情報サービス」を利用すれば、決算書や月次試算表データを金融機関に自動的に開示することができます。

所長の一言:「TKCモニタリングサービス」は、決算書申告とほぼ同時に金融機関へ開示することが出来るサービスです。試算表も月次決算完了とともに金融機関へお送りすることが出来、お客様にも大変評価頂いているサービスです。


税務:電子取引データの保存の実務③(全3回) ~保存方法を検討する~

 電子取引データを電子で保存するには、改ざん防止のための措置(真実性)や可視性・検索性、保存期間などの法令の要件を満たさなければなりません。保存方法には、専用の保存システムを「利用する」「利用しない」の2つの方法がありますが、法令の要件を満たした上で、経理業務の負担軽減とデジタル化を図るには、専用の保存システムを利用するほうがメリットは大きいといえるでしょう。電子取引データの保存は、法令対応というだけでなく、これからのデジタル化社会の進展を考えると、経理業務を大きく変える可能性があります。取引先がペーパレス化・デジタル化に積極的であれば、自社もその対応が求められるでしょう。今後のデジタル化を見据えた対応を進めましょう。


税務・法務:役員と会社の取引②(全2回)~貸し借りを軽く考えていませんか?~

 役員と会社の関係は、同族会社やオーナー企業であっても、法律上は別人格です。役員と会社との間で、金銭や不動産の貸し借り、資産の売買などを行う際には、外部との取引と同様の手続きを踏まないと、会社法上や法人税法上の問題が生じるおそれがあります。例えば、金銭や不動産の貸し借りを行うときは、「金銭消費貸借契約書」や「不動産賃貸契約書」を作成します。会社への損害を防止するため、取引の内容によっては株主総会や取締役会の承認決議を受けて、議事録を作成します。役員が会社から受け取る、または支払う利息や家賃が適正でない場合に、法人税法上、役員給与とされる場合があるため注意が必要です。

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事務所通信2022.7月号要約版

税務:電子取引データの保存の実務②~自社の電子取引を把握する~(全3回)

 たとえば、電子メールに添付された請求書等をはじめ、ネット通販サイトからダウンロードした領収書等、クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ、ペーパレス機能のあるファクス複合機での取引情報の受信などは、電子取引に関する情報(電子取引データ)になります。これらの電子取引データは、令和6年1月1日から、電子帳簿保存法上、紙による保存ではなく、電子取引データでの保存が義務化されます。電子取引データの保存への対応の第一歩は、取引状況の実態把握です。まずは、経理部門をはじめとする全部門、全役員・従業員を対象にすべての取引を洗い出します。税法上保存すべき紙の書類と電子取引データについて、取引先、種類(請求書、領収書など)、受取・保管部門、受取方法、枚数などをリストアップすることから始めましょう。


経営:逆風下での黒字化のヒントを考える

 日本電産の創業者・永守重信氏は、①井戸掘り経営、②家計簿経営、③千切り経営という3つの経営手法を駆使して、何度も危機を乗り越え、会社を成長させたと言います。①井戸掘り経営は、井戸水を汲むように、考えれば考えるほど知恵やアイデアは湧いてくるという考え方、②家計簿経営は、小さな節約を積み重ねてやり繰りする家計にならって、会社も支出の一つひとつを見直して、経営改善を図るという考え方、③千切り経営は、大きな課題や難しい課題は、いくつもの小さな課題に分解すれば、解決策が見つかるという考え方です。 このような経営手法を参考に、社長と従業員が一緒に考える機会をつくり、黒字化に向けて頑張りましょう。


税務・法務:役員と会社の取引①~見落としがちな役員給与の注意点~

 役員給与は、会社法上、株主総会において総額を決議し、各役員の給与額は、取締役会や取締役間の協議等で決定します。

 実際の支給にあたっては、1か月以下の一定期間ごとに同額で支給する定期同額給与であれば、全額損金算入が認められます。ただし、期首から3か月以内の改定など一定の場合を除いて、原則として、事業年度の途中での支給額改定は認められません。役員賞与を支給したいときは、予め支給時期や支給額を決め、所定の期日までに税務署へ事前確定届出給与として届け出て、届出どおりに支給すれば損金算入が認められます。

オーナー企業の場合、経営者自らが自身の役員給与を決めることになりがちです。自分の会社という意識から主観的に決めるのではなく、前年実績、当期の利益計画や業績見込みなどを基礎に、経営の現状と1年以内に返済する借入元本額を含めたキャッシュ・フローを確認して、よく検討した上で給与額を決定しましょう。

所長の一言:中小企業では、1年頑張って作った利益全てを、役員報酬として支払って、納税を少なく(ゼロ)にする企業が散見されます。それは企業経営としては間違っていると私は考えています。何故なら、会社に資金がなければ、企業は次なる収益の打ち手に充てることが出来ないのだから。適正な納税をして、会社に資金を残す。その資金を元に、設備投資・人材投資等を行い、会社を大きくする。地域の経済発展に寄与していく。それが、会社の理想でしょう。

「役員報酬で取っておいて、設備投資の際に(経営者自らが)資金を入れれば良いんでしょう」という経営者もいます。でもね社長さん、それは、社長の役員報酬で社会保険なり、源泉所得税、住民税が課税された後に残ったお金です。しかも、会社は経営者に後々返済をしないといけない。

どちらが良いのか、分かりますよね!


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事務所通信2022.6月号要約版

税務:電子取引データの保存の実務①~宥恕措置の間に何をする?~(全3回)

 取引先との間で取引情報を電子でやり取りする「電子取引」は、電子メールでの見積もりや発注、インターネットによる請求書や領収書の受け渡しなどが該当します。このような電子取引に関する情報(電子取引データ)について、令和4年1月1日から、電子帳簿保存法において電子データによる保存が義務化されました。ただし、宥恕措置として、令和5年12月31日までは、紙に印刷して保存することも認められます。令和5年10月からは消費税のインボイス制度も始まります。その対応と合わせて、今のうちから、電子データでの保存に取り組むようにしましょう。本年は、電子取引の洗い出し等を行い、来年は業務フローの改善・デジタル化を進めるなど、段階を踏んで令和6年1月1日に備えましょう。

所長の一言:電子取引データの保存は、来年10月から始まるインボイス制度との関係もあり、企業のDX化の一つとして非常に重要なものとなります。一つ一つチェックをしていき、インボイス制度開始、宥恕措置終了に備えましょう。


金融:新型コロナ貸付の返済にどう対応するか?

 新型コロナ貸付の据置期間が終わって、返済が始まる企業も少なくありません。現在の利益からどれだけ返済原資を確保できるか確認しましょう。複数の借入で返済額が多くなる場合は、借入を一本化し、借入期間を延長して、月々の返済額を軽減することも検討しましょう。もちろん業績の改善も行わなければなりません。特に利益の確保は不可欠です。どのような時代であっても利益を出し続け、資金繰りが好転するような体質にすることが企業には求められます。さらに、新たな融資が必要な場合は、新規借入を織り込んでも返済原資を確保できることがわかる資料を添えて金融機関に説明しましょう。返済の根拠が明らかであれば金融機関も融資判断をしやすくなります。

所長の一言:日本政策金融公庫では新型コロナ特別貸付は9月まで延長されております。ロシアのウクライナ侵攻による原油高、原材料高、急激な円安による物価上昇など中小企業の取り巻く環境は非常厳しい状況が続いています。会社の資金繰りをしっかり確認し、早め早めに対応していきましょう


経営:ポストコロナを見据えた中小企業の収益力改善等を支援!

 コロナ禍において、売上減少や借入の増大に直面している中小企業を対象に、経済産業省では、金融庁、財務省等と連携し、「収益力改善」「事業再生」「再チャレンジ」というフェーズに合わせた支援策(中小企業活性化パッケージ)を実施しています。「収益力改善」フェーズでは、税理士などの認定経営革新等支援機関による「早期経営改善策定支援事業」(ポスコロ事業)を見直し、ウクライナ情勢や原油価格高騰等に起因した影響を受けている事業者については、過去にポスコロ事業や「経営改善計画策定支援事業」を利用していても、再度利用することを可能としました。

 「事業再生」「再チャレンジ」フェーズでは、中小企業活性化協議会による「プレ再生支援」「再生支援」「再チャレンジ支援」などが強化されました。

 〇プレ再生支援:将来の本格的な再生計画策定を前提とした経営改善支援

 〇再生支援:事業に収益性はあるものの財務上の問題を抱える事業者に対して、専門家を交えた抜本的な再生支援を実施

 〇再チャレンジ支援:事業継続が困難な中小企業、保証債務に悩む経営者等を対象に、外部専門家が円滑な再スタート等を支援


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事務所通信2022.5月号要約版

会計:ますます重要となる適時・正確な記帳

 会計帳簿の本質的な役割は、「経営者への自己報告機能」と「証拠力の確保」です。自己報告機能とは、財産や借入の現況、売上や利益、資金繰りといった経営成績がわかることです。経営者の正しい経営判断のためにも、日々の記帳によって、常に最新の状況を把握できる状態にしておく必要があります。証拠力の確保とは、企業自らが適時・正確に記帳した帳簿には、証拠力があり、信頼性も高いということです。例えば、月次の締め後はさかのぼって訂正できない、訂正したときはその痕跡が残る会計システムで作成された帳簿の証拠力は高くなります。証拠力のある帳簿は、いざというときに会社を守るだけでなく、税務当局や金融機関からの信頼性を高めます。

所長の一言:会計帳簿は、会社自身で適時・正確に記帳したものが証拠力を有することとなります。会計事務所に領収書から何からドカンと渡してお任せなんて事はありませんか??その帳簿には適時性・正確性はありませんので証拠力を持つとは言えません。もし、そのような経営者の方がいらしゃいましたら、自計化(自らが記帳する)してみませんか?クラウド会計システムを利用を当事務所がサポートします。

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経営:将来を見据え“種まき”をしよう!

 コロナ禍によって大きく変わった人々の消費行動や認識などは、コロナ収束後も以前と同じに戻ることはないでしょう。そういう中で企業は、経営環境の変化に適合していかなければなりません。将来が明確でないのであれば、自社が望む新しい状況を創り出すことが可能です。将来なりたい会社像を描いて、それを実現するための戦略を考えてみましょう。戦略には「他社がマネのできない」「他社がマネをしたくない」自社の強みが必要であり、それを見つけることから始まります。そしてその強みを活かすために、商圏、事業、顧客、商品・サービスの機能、品質、価格、納期、販売方法・ルート、設備・施設などに分けて、力を入れるもの、削減するものなどを検討しましょう。


労務:社会保険の適用拡大と年金制度の見直し

 令和4年度は、パートタイマー等への社会保険の適用拡大、在職しながら年金を受給する人についての年金受給の見直しなどが行われます。

現在、従業員500人超の企業では、月額賃金が8万8千円以上(年収約106万円)など一定の条件を満たすパートタイマー等は社会保険への加入義務がありますが、対象となる従業員数が、本年10月から100人超に、令和6年10月から50人超にまで引き下げられます。

○特別支給の老齢厚生年金の支給停止基準が、報酬と年金の月額合計28万円超から47万円超に緩和されます。

○65歳以降も厚生年金に加入しながら働く人について、働いた分の年金額への反映を毎年(年1回、10月分から)行う在職定時改定制度が導入されます。

○年金の受給開始年齢は、従来70歳までの繰り下げが可能でしたが、4月から75歳まで可能になりました。

以上の改正は働く人たちの働き方にも影響を及ぼすものです。会社としても雇用について見直すきっかけにしましょう。

所長の一言:社会保険の加入対象が大幅に変更されます。人数基準では多くの中小企業が該当する改正でありますので、ご注意下さい。


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事務所通信2022.4月号要約版

会計・税務:経理業務のキホンの「キ」② 経理は現金に始まって現金に終わる


 日々の現金取引は、その日のうちに遅れずに起票し、正確な現金残高表(または現金出納帳)を作成するとともに、金庫内の現金を数えて、実際有高と帳簿残高が一致するかを確かめます。これが現金管理の基本です。現金は預金と異なり取引記録が残らないため、あとからその動きを追うのは困難です。毎日、現金残高を合わせていれば、売上や経費、精算のもれがなくなります。この現金管理ができていれば、現金に対する会計上の仕組みが構築されていることになり、誤りや不正を発見・防止する体制が整備されているといえるでしょう。

所長の一言:タイトルの通り、経理は現金処理が基本中の基本です。ぶっちゃけ、現金管理を見るとその会社の経理レベルが分かります。税務調査でも現金管理がしっかりしていると、税務調査官はこの会社はしっかりしてる、手ごわいな、と思われます(笑)それぐらい現金管理は重要です。皆様の会社は如何ですか??


会計:筋肉質で効率がよい会社をめざす(2)~負債・純資産の部では信用力が問われる~


 貸借対照表の「負債・純資産の部」は、企業活動を支える資金の調達先を表します。営業活動を支える運転資金は、「たな卸資産回転期間+売上債権回転期間」と「買入債務回転期間」との差を見ることで、資金調達が必要な期間がわかります。この差のバランスを図ることで、資金繰りが安定します。また、中小企業の多くは金融機関からの融資によって資金を確保しますが、「当期利益額+減価償却費」の金額が、1年以内返済額を上回っていれば、資金繰りは安定した状態といえます。中小企業の税負担率は利益の30%以内であることから、70%は内部留保することができます。黒字化をはかり、利益を内部留保して純資産(自己資本)の蓄積をめざしましょう。

所長の一言:このコラムにもあるように、納税をしない限り会社は大きくなりません。税金を払いたくないばかりに利益全部を役員報酬で取ってしまうというのも大きな間違いです。納税してお金を残し、そのお金で人材投資・設備投資に活かして行く、それが会社経営の基本ですね。


経営:こんな方法もある! 資金調達のアイデア


 資金調達というと、金融機関や経営者からの借り入れなどが一般的です。しかし、代金前払いなどは、事前に資金を調達できるという点で、一種の資金調達の手法といえます。前金、前売り券、手付金などはその一例でしょう。それ以外にも、保守・点検サービスの月額料金や、サブスクリプションと呼ばれる定額制動画配信サービスなどは、毎月一定額を受け取ることができ、資金繰りの安定に貢献します。中小企業の利用が増えているクラウドファンディングや、農作物のオーナー制度なども、商品・サービスの提供前に収入を得る仕組みといえます。新商品・新サービス開発の際には、資金調達のことも考えたビジネスモデルを検討してみてはいかがでしょうか。


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事務所通信2022.3月号要約版

会計・税務:経理業務のキホンの「キ」 ~まずは会計伝票の誤りを正しく訂正すること~


 実務において会計伝票に誤りを発見することがあります。この場合、誤りをさかのぼって訂正するのではなく、「発見した日の日付」で、取り消しと訂正の伝票を起票します。これが正規の簿記の原則に従った正しい訂正方法です。「訂正の履歴をきちんと残す」ことで証拠能力として認められます。このことは紙の伝票においても、電子の伝票においても変わることはありません。このような、日々の正しい会計処理の積み重ねが、正しい月次試算表や、適正な決算書、税務申告書の作成につながり、税務署や金融機関から高い評価が得られます。

所長の一言:帳簿の証拠能力は刑事訴訟法第323条第2項でも認められています。ただし、適正な帳簿が証拠能力が認められるのであって、遡及訂正(さかのぼって訂正出来ること)をしたものなどは、証拠能力としては低いと言わざるを得ません。正しい帳簿を作成し、関係機関の評価を上げるとともに、自社の経営に活かして行きましょう!


会計:筋肉質で効率がよい会社をめざす(2)~資産は回転力が重要~


 営業活動における「たな卸資産(在庫)→売上→売掛金(売上債権)回収」という回転が速いほど、資金効率がよくなります。これを水泳選手の身体にたとえると、右腕(たな卸資産)と左腕(売掛金)が効率よく回って、胸筋(現金預金)を強くしている状態です。その一方で、上半身の動きを支える下半身(固定負債)が過大になりすぎる(脂肪過多)と、資金不足になるおそれがあります。売掛金と在庫の管理をきちんと行って、たな卸資産や売掛金を効率よく回転させ、筋肉質で効率がよい会社をめざしましょう。


経営:こんなときだからこそ 3か月ごとに業績を総括!


 先行きの不透明なこんなときだからこそ、月次の業績だけでなく、3か月ごとに業績を確認することが必要です。月次で見ると小さな変化であっても、3か月で見ると大きな変化になっているかもしれません。3か月ごとに業績を総括し、課題や強化すべき点を確認し、目標とのズレを改善する方法を考え、目標との差異を小さくしていくことが大切です。状況によっては決算に向けての方針を変更しなければならないこともあります。 いま、金融機関は、融資先の事業、財務、資金繰りの状況を確認するモニタリングを重視する方向へ動いています。業績管理を行い、自社から積極的に業績などを報告することが必須になってきています。また、当事務所では、モニタリング情報サービスと言うシステムで決算書や毎月の試算表を電子的に自動で金融機関へ提供することも可能です。ご興味のある方は是非お問い合わせください。


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事務所通信2022.2月号要約版

税務:令和2年分 所得税の確定申告はココに注意!


 令和2年分の確定申告では、国からの給付金等や特例税制などに注意が必要です。

〇持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金は課税対象になります。

「特別定額給付金」(国民1人一律10万円)や「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」「子育て世帯への臨時特別給付金」は非課税のため、申告は不要です。

〇マイナポイントや「Go To キャンペーン」によって付与されるポイントや給付は、課税対象(一時所得)として、他の一時所得との合計金額が50万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。

〇中間申告分や予定納税分について納税猶予の特例を受けている場合、猶予は確定申告期限までです。


経営:コロナ禍でも伸びている売上はないか? ~おさえておきたい! 売上分析の着眼点~


全体の売上数字を見るだけではなく、その内容を得意先別や商品(製品)別など、詳細に分析してみましょう。全体の売上は下がっていても、得意先や商品によっては、「新型コロナの影響を受けなかった」「令和2年後半の売上が伸びている」という例があるはずです。そのような分析をもとに、今後、力を入れていく得意先や商品を検討します。検討結果を、経営戦略や具体的な目標設定(短期計画、中期計画など)に活かすことで、事業継続につながります。


労務:雇用を守り、事業を継続する手段を考える


新型コロナによって、雇用の維持と事業の継続が課題になっています。今後も、休業や時短営業を余儀なくされる場合には、雇用調整助成金の活用を検討します。受給には、事前に立てた休業予定(計画)に基づいて、従業員を休業(1日又は一定の時間)させ、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要です。コロナ禍において、今後、労働時間や従業員の働き方を変えるなかで、給与の見直しなど、労働条件の不利益変更をせざるを得ないときもでてくるでしょう。その際には、まずは経費の削減、役員給与の減額、公的助成金の活用など、会社としてできる限りの手を尽くす必要があります。そのうえで、従業員へ丁寧に説明し、その妥協点を探り、個別合意を得るという手順を踏まなければなりません。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2022.1月号要約版

経営理念:企業は社会の公器 ~自社の存在意義を再確認しよう~


 「会社はだれのものか?」と聞かれたときにあなたはどう答えますか。もちろん懸命に働いて会社を維持してきた経営者にとっては「自分のもの」ですが、「一緒にがんばってきた社員のものでもある」「顧客が支えてくれて今がある」と思う方もいらっしゃるかもしれません。企業は「顧客の求めるものは何か」を常に考えて、そのニーズに応じた商品やサービスを提供するとともに、「社会」、つまり企業を取り巻く、顧客、社員、経営者(家族含)、取引先、地域社会、環境・資源、行政機関等のステークホルダーにも貢献する活動を行うことで、社会で存続できるのではないでしょうか。コロナ禍で厳しい環境が続きますが、年初にあたり、自社の存在意義を考える機会を持ってみてはいかがでしょうか。


経営戦略:急激な環境変化のなかで、自社のできることを探そう


 新型コロナによって企業を取り巻く経営環境が大きく変化しても、企業は売上回復を図らなければなりません。SWOT分析の手法を活用し、外部環境を、自社にとって追い風やチャンスとなる「機会」と、反対に逆風やピンチとなる「脅威」に分けて、市場の変化を分析してみましょう。次に、内部環境として、自社が他社に勝てる、得意な点である「強み」と、反対に他社に負ける、不得意な点である「弱み」を再確認します。機会、脅威、強み、弱みの現状分析をもとに、追い風やチャンスを活かせる自社の強みを見つけて、そこから今できる戦略を考えて、まずは一歩を踏み出してみましょう。


トピック:急速に進むデジタル化の波


 政府は、デジタル庁の新設、デジタル化促進のための規制改革、行政手続における「書面・押印・対面」廃止の法改正を令和3年の通常国会で予定しています。また、すでに実施・予定されている行政サービスのデジタル化もあります。

〇マイナンバーカードを健康保険証として利用できる(令和3年3月から)。

〇マイナンバーカードに運転免許証の機能を搭載される(令和8年を予定)。

〇旅券(パスポート)の電子申請が可能になる(令和4年を予定)。

〇マイナンバーカードと銀行口座の紐づけにより、国税還付、年金給付、被災者生活再建支援金、各種奨学金などの公金受取手続の迅速・簡素化を図る。

〇年末調整や確定申告における控除証明書等の電子データ化により申告書への記載・計算・提出が自動化される。

 デジタル化された行政サービスの利用には、マイナンバーカードが必須になります。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)