HOME > NEWS > WEB事務所通信 > 2021年

2021年

事務所通信2021.12月号要約版

税務:年末調整は「申告書様式の変更」に注意 ―電子化への準備を進めよう―


 令和2年分の年末調整では、税制改正に伴い、「基礎控除申告書」「所得金額調整控除申告書」が新設され、「配偶者控除等申告書」と様式が兼用となった「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」になります。新しい申告書は、従業員の給与収入、配偶者や扶養親族の有無などによって記入すべき申告書がそれぞれ異なります。記入もれや記載ミスがないよう、経理担当者は、記入上の注意事項などを早めに伝えるようにしましょう。年々、年末調整手続が煩雑化し、従業員の手間や経理担当者の負担も大きくなっています。給与計算事務と合わせて年末調整手続を電子化することで、経理業務の省力化が可能になります。当事務所にご相談ください。


支援策:新型コロナウイルスに関する給付金や特例措置のタイムリミットを確認しよう


 新型コロナに関連した給付金、支援措置の申請期限や適用期間の終了が迫っています。これまで要件を満たさなかった法人、個人事業者でも、年末にかけて新型コロナの影響を受けて、売上減少要件などを満たせば、給付金等の支援策を活用することができます。申請期限等に注意しましょう。

〇雇用調整助成金の特例(緊急対応期間)の適用期間……令和2年12月31日まで

〇家賃支援給付金・持続化給付金の申請期限………………令和3年1月15日まで

〇令和3年分固定資産税の減免措置の申請期限……………令和3年1月31日まで

〇納税猶予の特例…………令和3年2月1日までに納期限が到来する国税等が対象


経営:業務を1時間短縮できないか? ―効率化へのヒントを探そう―


 新型コロナの影響によって売上減少や事業縮小を余儀なくされた一方で、業務上の無駄や非効率な点が浮き彫りになったという側面もありました。このような変化を改善点ととらえ、業務内容や営業方法、従業員の働き方を変えたり、労働時間を減らしたりして、雇用を守りつつ人件費を抑えたりして、固定費や変動費の削減を図りましょう。売上回復に目を向けるだけでなく、生産性向上や経営効率化など、経営の「質」を高める行動にトライしましょう。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.11月号要約版

経営:借入金の内容を確認し、返済時期・原資等を今から考える

 政府の新型コロナ関連融資は、多くの企業において直面する支払いや手元資金の確保に活用されました。しかし、借入金は、いずれは返済しなければなりません。まずは、借入契約ごとに元本、利率、返済条件、据置期間、返済期限などの借入情報を整理し、返済のシミュレーションを行い、返済原資確保のための経営改善について今のうちから考えておく必要があります。経営改善にあたっては、新型コロナが経済全体に大きな影響を与えている状況から、得意先や消費者向けの売上改善だけでなく、固定費・変動費、不採算事業の見直しなど社内で実践できることから始めましょう。


税務・労務:「103万円」「130万円」扶養内で働くため“年収の壁”を確認しよう

 一般に、パートで働く主婦は、収入が夫の扶養範囲である103万円(税金)や130万円(社会保険)を超えないように就業調整をするケースが多くあります。しかし、現在は、配偶者特別控除が拡大され、夫の給与収入が1,095万円以下の場合、妻のパート収入が103万円を超えても150万円以下であれば、夫は配偶者控除(38万円)と同額の配偶者特別控除を受けることができるため、夫の税負担は変わりません。ただし、妻には所得税が課税されます。収入が130万円以上であれば、妻に社会保険料の負担が発生します。また、FX・暗号資産の取引や転売による収入、生命保険の一時金など、パート収入以外の収入があると、収入が103万円を超えて、扶養の範囲から外れる可能性があります。


トピック:同じ土地でも価格は5つ 違いを知っておこう

 土地の価格には、実際の取引価格(実勢価格)のほかに、国土交通省や都道府県、国税庁などが調査・公表する「公示地価(公示価格)」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」があります。「公示地価」や「基準地価」は、土地取引における価格の目安や、公共用地の取得価格の算定の基準とされます。「路線価」は相続や贈与における宅地等の評価額を求める際の基準に、「固定資産税評価額」は固定資産税算定の基準になるものです。

 公示地価や路線価は、1月1日時点における土地価格が基準のため、新型コロナの影響が反映されていませんが、基準地価(9月公表)は、7月1日時点の土地価格が基準とされます。基準地価の状況によっては、路線価のほうが高くなる逆転現象が起きた場合、路線価を減額修正する措置が実施される予定です。国税庁からの情報に注意しましょう。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.10月号要約版

経営:手元資金で何か月分の給料・家賃が支払えますか?

 今、手元にどれぐらいの資金がありますか。新型コロナの影響によって売上減少が続く状況においては、最低でも6か月分の給料・家賃が支払えるだけの手元資金を確保しておきたいところです。今後、事業を継続していく上で検討しておきたいことは、仕事量や顧客の減少に合わせた労働時間の削減、雇用調整助成金の活用などです。売上・利益の側面では、これまでのコロナ禍での事業の成果を検証し、費用対効果、限界利益の確保の視点から、事業の見直しや収益の確保策を検討しましょう。


経営:新型コロナ・災害など不確かな時代だからこそ 月次決算とデータの安全性が重要です

 近年は地震・風水害など災害が頻繁に起きています。また、新型コロナ危機のような想定外の事態においても、月次決算によって最新の業績が把握できていれば、影響の予測や資金繰り対策、給付金等の申請への素早い対応が可能です。月次決算の重要性が一層高まっています。それとともに被災したときの業務の早期復旧への備えとして、財務データの安全な場所への保管についても検討しましょう。


電子化:経理業務のペーパーレス化を進めよう

 令和2年10月1日から電子取引の取引情報についての保存要件が緩和されます。これによって、経理業務のペーパーレス化がより一層進むことになるでしょう自社の体制も再確認しておきましょう。


法務・税務:居住財産の考え方が変わる! 配偶者居住権の活用と税務上の注意点

 例えば、夫の相続時に子が自宅を相続しても、配偶者居住権を設定することで、妻はそのまま自宅で暮らすことができます。配偶者居住権には財産価値が認められており、自宅の相続税評価額が高額なときや、配偶者の年齢が若いときには、相続時にこれを設定することで、将来の相続税負担を軽減できる可能性があります。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.9月号要約版

経営:特集「緊急 資金繰り対策」歴史からひも解く コロナ危機に負けない経営者マインドとは

 わが国は創業100年超の老舗企業が3万社にのぼる長寿企業大国であり、それらの企業は恐慌や大戦、震災などの苦難を乗り越えてきました。江戸時代のデフレ政策とされる享保の改革では、商人の7、8割が潰れたといわれます。商人は、自己の責任で決断し、己を律し、行動しなければ生き残れないことを痛感し、困難に遭っても心が折れないために、商家のあるべき姿を家訓として残しました。商人が倒産した真の要因は目的意識が希薄であったことを知ったのでした。歴史は繰り返します。今、コロナ禍で多くの企業が厳しい状況にある中で、今一度原点に戻り、会社の存在意義の再構築をすることの重要性を伝えています。


支援策・税務:特集「緊急 資金繰り対策」中小企業への資金支援を強化! 第2次補正予算のポイント

 第2次補正予算では、家賃支援給付金の創設、雇用調整助成金の拡充などの追加支援策が盛り込まれました。

①家賃支援給付金は、支払賃料(月額)に基づいて算定した額の6倍が一括支給されます。ただし、法人は600万円・個人事業者は300万円が上限です。対象は、令和2年5月~12月における売上の減少が、1か月で50%又は連続する3か月の売上の合計が30%のいずれかに該当するテナント事業者です。

②雇用調整助成金は、助成額の上限を1人1日8,330円から15,000円に引き上げるなどの拡充が行われました。なお、引き上げは、4月1日まで遡って適用されます。

③新型コロナ感染拡大の防止措置による休業中に、賃金(休業手当)を受けられなかった人に対して「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が支給されます。


トピック:新しいポイント還元制度「マイナポイント」が始まる

 9月から、マイナンバーカードを活用した消費活性化策として「マイナポイント」が始まります(令和3年3月まで)。マイナポイントは、利用者がキャッシュレス決済サービスを一つ選んで事前に登録することで、チャージや買い物時に、金額の25%(上限5,000円分)がその決済サービスのポイントとして付与されます。マイナポイント取得までの手順と注意事項を紹介します。今後、調整手続の電子化など、行政サービスの電子化が進むと、様々な場面でマイナンバーカードが必要になります。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.8月号要約版

経営:特集「緊急 資金繰り対策」 家賃支援給付金を活用しよう!

 新型コロナウイルス感染症の影響で売上が急減しているテナント事業者に対して、「家賃支援給付金」が最大で法人に月100万円、個人に月50万円が6か月分支給されます。対象は、令和2年5月~12月における売上の減少が次のいずれかに該当する事業者です。

 ①1か月の売上が前年同月比で50%以上減少している

 ②連続する3か月の売上が前年同期比で30%以上減少している

 また、新型コロナウイルス感染症の影響で家賃の支払いが困難なテナント事業者を支援するために家賃の減額に応じた不動産オーナーについては、減額分が税務上は寄附金とはなりません。


金融:特集「緊急 資金繰り対策」 新規・つなぎ融資、借換えの際の留意点

 金融庁や中小企業庁は、金融機関に対して、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で資金繰りに窮する事業者への迅速かつ柔軟な対応を要請しています。金融機関の融資判断においては、融資した資金が事業に正しく使われ、確実に返済されるかを重視します。したがって、スムーズな融資のためには、経営者が事業の状況と資金使途を説明するとともに、月次決算に基づいた直近の試算表、資金繰り表、経営計画が重要なことに変わりはありません。


税務:助成金や給付金に税金はかかるのか?

 国や地方自治体から助成金や給付金を受ける場合は、課税の有無や計上時期に注意しましょう。法人が受け取った助成金等は雑収入として法人税が課税されますが、消費税は課税されません。個人が受け取った助成金等は、法令によって非課税になるもの(例:特別定額給付金)以外は、所得税の課税対象(事業所得等、一時所得、雑所得のいずれか)になります。一般に、助成金等は「申請→支給決定→入金」の流れで支給されますが、収益の計上時期は、入金時ではなく、支給決定時になります。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.7月号要約版

税務:特集「緊急 資金繰り対策」 納税猶予の特例を活用して手元資金を確保する!

 令和3年1月31日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税などほぼすべての国税を対象に、無担保・延滞税なしで1年間、納税を猶予できる特例があります。対象は、新型コロナウイルスの影響により令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、「売上(事業収入)が前年同期に比べて概ね20%以上減少」などの要件を満たす法人・個人事業者です。納税猶予は、本来、税金として納付するはずの資金が手元に残ることから、強力な資金確保策になります。消費税の予定納税についても猶予の対象になるため、納税額が多額の場合は利用しましょう。利用には税務署への申請が必要です。なお、地方税、社会保険料等についても同様の猶予の特例があります。


労務:雇用調整助成金の特例の活用で給与を補てんする!

 新型コロナウイルス感染症対策にかかる「雇用調整助成金の特例」について、4月1日から6月30日までを緊急対応期間として、全業種(全事業主)を対象に、次のような拡大措置が実施されています。6月30日までの休業の受給申請は8月31日までです。

〇売上高(生産量)の減少要件を1か月10%以上から5%以上に緩和

〇助成率を2/3から4/5に引き上げ(解雇を実施しない場合は9/10)

〇小規模事業者を対象に「実際の休業手当額×助成率」によって助成額を算出

〇対象となる休業を、一斉又は一定のまとまりで行う1時間以上の短時間休業まで拡大

〇雇用保険の被保険者でない従業員の休業も助成金の対象になる


経営:事業継続・再起のための持続化給付金の活用と申請方法

 新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者を対象に、最大で法人200万円・個人事業者100万円の持続化給付金が支給されます。ただし、下記のように前年の総売上からの減少分が上限になります。

 〇前年の総売上(事業収入)-(前年同月比で50%以上減少した月の売上×12か月)

 「前年同月比で50%以上減少した月」は、令和2年1月~12月の中から、事業者が任意に選ぶことができるため、12月までに50%以上減少した月があれば申請が可能です(申請期限は令和3年1月31日まで)。申請方法は原則としてオンラインになります。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.6月号要約版

 会計:限界利益が固定費を上回っていますか?

   変動損益計算書で経営を見える化する①(全3回)

変動損益計算書は、費用(経費)を、売上の増減に伴って変動する変動費(材料費、外注費など)と、売上が増減しても変動しない固定費(賃金・給与や地代家賃など)に分類し、売上高から変動費を差し引いた限界利益、そこから固定費を差し引いた経常利益を算出しています。
限界利益は、粗利益とほぼ同じもので、企業の純粋な稼ぎ高であり、これが固定費を上回ることで固定費が賄えるのです。
固定費を限界利益率(限界利益÷売上高)で割れば、赤字でも黒字でもない損益トントンの売上高である損益分岐点売上高を簡単に求めることができます。変動損益計算書をもとに、売上高、変動費、固定費、限界利益の数値をシミュレーションすれば、数値にもとづいた的確な経営判断ができるようになります。


金融:確認しておきたい 追加融資と借入金返済への備え

新型コロナの影響が長期化するなか、追加融資が必要となるケースも出てきます。
昨年来の新型コロナ関連融資では、財務内容よりも迅速さが優先され、融資が受けやすい状況にありましたが、追加融資は審査が厳しくなることが予想されます。
追加借り入れの際には、直近の試算表、前年同月の売上高、資金繰り表などの資料をもとに、資金使途、必要資金額、返済可能性について金融機関に説明しましょう。
また、既存借入金の返済開始も始まります。返済原資を確認し、借換えや返済条件の変更(リスケジュール)についても検討しましょう。
政府系金融機関の新型コロナ関連の融資・保証についても、期限や対象要件等が見直されることがあるため、最新情報に注意しましょう。


トピック:押印のない契約書、証憑書類は有効なのか?

官民において押印廃止が進められるなか、押印の法的効果や押印のない文書の責任の所在や意思確認について、さまざまな疑問もあるでしょう。
①押印の法的効果は、本人の印章(はんこ)によって押印された印影は、本人の意思に基づく押印と推定され、その本人が作成したものであると推定されることにあります。
②契約書、請求書、領収書などへの押印を廃止しても、法的には有効ですが、文書の真正な成立の過程を裏付ける資料などを残しておく必要があります。
③民間同士の取引において、責任の所在や意思を明確にしておきたい場合には、従来どおり書面に押印することも必要です。しかし、押印廃止の先には文書のデジタル化があり、今後は、電子署名や電子認証サービスを活用した文書のデジタル化が進むでしょう。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.5月号要約版

支援策:第3次補正予算による中小企業支援策を活用しよう!

 令和2年度第3次補正予算等では、新型コロナ対策として、中小企業向けの補助金、公的融資などの新設・拡充が盛り込まれました。
①新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編等の思い切った事業再構築を図る中小企業等に最大1億円(通常枠は6,000万円)を補助する「事業再構築補助金」が創設されました。税理士等の認定経営革新等支援機関との事業再構築計画の策定が必要です。
②ものづくり・持続化・IT補助金について、感染対策と経済活動の両立のための設備の導入、販路開拓、テレワーク等のためのITツールの導入を対象とした特別枠が、補助率等を拡充し、「低感染リスク型ビジネス枠」(新特別枠)として改編されました。
③事業転換・イノベーション・経営改善を支援するため、当初2年間の金利を0.5%引き下げた「設備資金貸付利率特例制度」や、金融機関の継続的な伴走支援を受けて経営改善に取り組む中小企業への「伴走型特別保証」が創設されました。


税務:確認しておきたい 新型コロナに関連した税制の注意点

①新型コロナ税特法により創設された「納税の猶予制度の特例」は、令和3年2月1日をもって終了しました。今後は、通常の猶予制度(換価の猶予、納税の猶予)を適用することになります。
②テレワーク(在宅勤務)する従業員に対して、会社が在宅勤務手当として一定額を渡切りで支給する場合は、給与として課税されます。テレワークに必要な事務用品等の支給や通信費・電気料金について、実費相当額を精算する場合は、課税されません。
③助成金等を受給した場合は、法人税や所得税の課税対象になるため注意が必要です。雇用調整助成金の特例措置によって助成金を受給した場合は、支給決定を受けた事業年度に収益を計上することが認められます。


会計・税務:経理業務のキホンの「キ」③ なぜ帳簿書類の整理・保存が重要なのか

帳簿書類の整理・保存は、現金管理とともに正しい経理処理の基本であり、経営の意思決定と経営管理のうえで、欠かすことのできない業務です。
帳簿書類が、秩序正しく整理され、いつでも容易に見られる状態に保管してあれば、経理業務においても、書類の紛失、誤記、転記や請求のミスなどが起こりにくくなります。社長が経営判断に必要な情報を迅速に確認することができます。
帳簿書類は、商法、会社法、税法において保存期間が定められており、税務では、帳簿書類の保存が青色申告控除や消費税の仕入税額控除の要件になっています。
電子への移行においても、紙ベースでの帳簿書類の整理・保存がきちんとできていれば、移行がスムーズに進みます。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.4月号要約版

会計・税務:経理業務のキホンの「キ」② 経理は現金に始まって現金に終わる

 日々の現金取引は、その日のうちに遅れずに起票し、正確な現金残高表(または現金出納帳)を作成するとともに、金庫内の現金を数えて、実際有高と帳簿残高が一致するかを確かめます。これが現金管理の基本です。
 現金は預金と異なり取引記録が残らないため、あとからその動きを追うのは困難です。毎日、現金残高を合わせていれば、売上や経費、精算のもれがなくなります。この現金管理ができていれば、現金に対する会計上の仕組みが構築されていることになり、誤りや不正を発見・防止する体制が整備されているといえるでしょう。


会計:筋肉質で効率がよい会社をめざす(2)~負債・純資産の部では信用力が問われる~

 貸借対照表の「負債・純資産の部」は、企業活動を支える資金の調達先を表します。
営業活動を支える運転資金は、「たな卸資産回転期間+売上債権回転期間」と「買入債務回転期間」との差を見ることで、資金調達が必要な期間がわかります。この差のバランスを図ることで、資金繰りが安定します。
 また、中小企業の多くは金融機関からの融資によって資金を確保しますが、「当期利益額+減価償却費」の金額が、1年以内返済額を上回っていれば、資金繰りは安定した状態といえます。
 中小企業の税負担率は利益の30%以内であることから、70%は内部留保することができます。黒字化をはかり、利益を内部留保して純資産(自己資本)の蓄積をめざしましょう。


経営:こんな方法もある! 資金調達のアイデア

 資金調達というと、金融機関や経営者からの借り入れなどが一般的です。
 しかし、代金前払いなどは、事前に資金を調達できるという点で、一種の資金調達の手法といえます。前金、前売り券、手付金などはその一例でしょう。
 それ以外にも、保守・点検サービスの月額料金や、サブスクリプションと呼ばれる定額制動画配信サービスなどは、毎月一定額を受け取ることができ、資金繰りの安定に貢献します。中小企業の利用が増えているクラウドファンディングや、農作物のオーナー制度なども、商品・サービスの提供前に収入を得る仕組みといえます。
 新商品・新サービス開発の際には、資金調達のことも考えたビジネスモデルを検討してみてはいかがでしょうか。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.3月号要約版

会計・税務:経理業務のキホンの「キ」 ~まずは会計伝票の誤りを正しく訂正すること~

 実務において会計伝票に誤りを発見することがあります。この場合、誤りをさかのぼって訂正するのではなく、「発見した日の日付」で、取り消しと訂正の伝票を起票します。これが正規の簿記の原則に従った正しい訂正方法です。
 「訂正の履歴をきちんと残す」ことで証拠能力として認められます。このことは紙の伝票においても、電子の伝票においても変わることはありません。
 このような、日々の正しい会計処理の積み重ねが、正しい月次試算表や、適正な決算書、税務申告書の作成につながり、税務署や金融機関から高い評価が得られます。


会計:筋肉質で効率がよい会社をめざす(2)~資産は回転力が重要~

 営業活動における「たな卸資産(在庫)→売上→売掛金(売上債権)回収」という回転が速いほど、資金効率がよくなります。これを水泳選手の身体にたとえると、右腕(たな卸資産)と左腕(売掛金)が効率よく回って、胸筋(現金預金)を強くしている状態です。その一方で、上半身の動きを支える下半身(固定負債)が過大になりすぎる(脂肪過多)と、資金不足になるおそれがあります。
 売掛金と在庫の管理をきちんと行って、たな卸資産や売掛金を効率よく回転させ、筋肉質で効率がよい会社をめざしましょう。

経営:こんなときだからこそ 3か月ごとに業績を総括!

 先行きの不透明なこんなときだからこそ、月次の業績だけでなく、3か月ごとに業績を確認することが必要です。月次で見ると小さな変化であっても、3か月で見ると大きな変化になっているかもしれません。3か月ごとに業績を総括し、課題や強化すべき点を確認し、目標とのズレを改善する方法を考え、目標との差異を小さくしていくことが大切です。状況によっては決算に向けての方針を変更しなければならないこともあります。
 いま、金融機関は、融資先の事業、財務、資金繰りの状況を確認するモニタリングを重視する方向へ動いています。業績管理を行い、自社から積極的に業績などを報告することが必須になってきています。
 また、決算書や毎月の試算表を電子的に自動で金融機関へ提供することも可能です。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.2月号要約版

税務:令和2年分 所得税の確定申告はココに注意!

 令和2年分の確定申告では、国からの給付金等や特例税制などに注意が必要です。
〇持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金は課税対象になります。
「特別定額給付金」(国民1人一律10万円)や「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」「子育て世帯への臨時特別給付金」は非課税のため、申告は不要です。
〇マイナポイントや「Go To キャンペーン」によって付与されるポイントや給付は、課税対象(一時所得)として、他の一時所得との合計金額が50万円を超えると、確定申告が必要になる場合があります。
〇中間申告分や予定納税分について納税猶予の特例を受けている場合、猶予は確定申告期限までです。


経営:コロナ禍でも伸びている売上はないか? ~おさえておきたい!売上分析の着眼点~

全体の売上数字を見るだけではなく、その内容を得意先別や商品(製品)別など、詳細に分析してみましょう。全体の売上は下がっていても、得意先や商品によっては、「新型コロナの影響を受けなかった」「令和2年後半の売上が伸びている」という例があるはずです。そのような分析をもとに、今後、力を入れていく得意先や商品を検討します。検討結果を、経営戦略や具体的な目標設定(短期計画、中期計画など)に活かすことで、事業継続につながります。


労務:雇用を守り、事業を継続する手段を考える

新型コロナによって、雇用の維持と事業の継続が課題になっています。
今後も、休業や時短営業を余儀なくされる場合には、雇用調整助成金の活用を検討します。受給には、事前に立てた休業予定(計画)に基づいて、従業員を休業(1日又は一定の時間)させ、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要です。
 コロナ禍において、今後、労働時間や従業員の働き方を変えるなかで、給与の見直しなど、労働条件の不利益変更をせざるを得ないときもでてくるでしょう。その際には、まずは経費の削減、役員給与の減額、公的助成金の活用など、会社としてできる限りの手を尽くす必要があります。そのうえで、従業員へ丁寧に説明し、その妥協点を探り、個別合意を得るという手順を踏まなければなりません。


(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)

事務所通信2021.1月号要約版

経営理念:企業は社会の公器 ~自社の存在意義を再確認しよう~

 「会社はだれのものか?」と聞かれたときにあなたはどう答えますか。もちろん懸命に働いて会社を維持してきた経営者にとっては「自分のもの」ですが、「一緒にがんばってきた社員のものでもある」「顧客が支えてくれて今がある」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 企業は「顧客の求めるものは何か」を常に考えて、そのニーズに応じた商品やサービスを提供するとともに、「社会」、つまり企業を取り巻く、顧客、社員、経営者(家族含)、取引先、地域社会、環境・資源、行政機関等のステークホルダーにも貢献する活動を行うことで、社会で存続できるのではないでしょうか。
 コロナ禍で厳しい環境が続きますが、年初にあたり、自社の存在意義を考える機会を持ってみてはいかがでしょうか。


経営戦略:急激な環境変化のなかで、自社のできることを探そう

 新型コロナによって企業を取り巻く経営環境が大きく変化しても、企業は売上回復を図らなければなりません。SWOT分析の手法を活用し、外部環境を、自社にとって追い風やチャンスとなる「機会」と、反対に逆風やピンチとなる「脅威」に分けて、市場の変化を分析してみましょう。次に、内部環境として、自社が他社に勝てる、得意な点である「強み」と、反対に他社に負ける、不得意な点である「弱み」を再確認します。
 機会、脅威、強み、弱みの現状分析をもとに、追い風やチャンスを活かせる自社の強みを見つけて、そこから今できる戦略を考えて、まずは一歩を踏み出してみましょう。


トピック:急速に進むデジタル化の波

 政府は、デジタル庁の新設、デジタル化促進のための規制改革、行政手続における「書面・押印・対面」廃止の法改正を令和3年の通常国会で予定しています。また、すでに実施・予定されている行政サービスのデジタル化もあります。
〇マイナンバーカードを健康保険証として利用できる(令和3年3月から)。
〇マイナンバーカードに運転免許証の機能を搭載される(令和8年を予定)。
〇旅券(パスポート)の電子申請が可能になる(令和4年を予定)。
〇マイナンバーカードと銀行口座の紐づけにより、国税還付、年金給付、被災者生活再建支援金、各種奨学金などの公金受取手続の迅速・簡素化を図る。
〇年末調整や確定申告における控除証明書等の電子データ化により申告書への記載・計算・提出が自動化される。
 デジタル化された行政サービスの利用には、マイナンバーカードが必須になります。

(以上の記事について詳細を知りたい事業者の方には「事務所通信」を送らせていただきます)